介護施設で台風や地震などの大ききな災害が発生したとき、離れて暮らす家族にすぐに連絡が取れないことはありますよね。
特に高齢のご家族の安否確認や自力避難について、心配されている方も多いのではないでしょうか。
老人ホームに入っていれば安心ということでもありません。
他県の特別養護老人ホームが、台風による浸水で孤立してしまったというニュースがありました。
全員怪我なく救助されたとのことでほっと胸をなで下ろしましたが、老人ホームでは日頃から災害への備えが重要であることを再認識しました。
そもそも、できるだけ避難をしないで済むような立地条件や設備の老人ホームを選ぶことが重要です。
目次
弊社の老人ホームの立地と災害対応施設
弊社の老人ホームは、立地や設備については、施設開設前から災害を考慮して決定しています。
富士山松岡ガーデンの災害対応
富士山松岡ガーデンは、平成29年に建築した新規施設で、基準をクリアした耐震・準耐火構造になっています。
古くからの住宅地に建てられ、ハザードマップでは浸水最大50㎝以下の地域です。
富士山するがテラスの災害対応
平成30年にオープンした富士駅前の富士山するがテラスの入る「ソシエルふじ」は、ビル自体が災害を想定して、最新の技術を駆使して建築されたビルになっています。
さらに、富士市と連携し、帰宅困難者の支援施設としての拠点になっています。
地震、災害については南海トラフ地震による震度6以上の揺れが想定されていますので、その震度にも耐えうる構造となっています。
台風接近にともなう事前準備
台風が近づいているというニュースがあったとき、介護付きホーム「富士山するがテラス」、「富士山松岡ガーデン」で実際に行った対策をご報告します。
台風前日までの対策
- 台風接近の数日前から、備蓄品(蓄電池、水、食料、懐中電灯)を確認しました。
- 前日までに、台風襲来の際に想定される施設の破損に備え、対策をしました(飛散する可能性のあるものをしまう、飛来物によるガラスの破損や飛散防止のためのテープ貼り)
- ご入居者様に対して、台風襲来への対応と部屋での過ごし方をご説明しました。
台風当日の対策
- 夕方の上陸に備え、午後のスケジュールを1時間繰り上げました。
具体的には、夕飯の時間を早めにして早く居室でお休みいただくことにしました。
繰り上げた時間で、就寝前のご入居者さまへのケアの時間に充てられるよう見直しをしました。 - 一部帰宅のできないスタッフに対しては、交通機関が動くまで事業所で待機できるように準備しました。
- 停電等のトラブル発生時の手順について、職員間で事前に確認をしました。
- 不足の自体に備えて、施設運営者が富士山するがテラスのビル内に待機しました。
浸水の場合の想定
静岡県富士市浸水想定は50㎝以下だったため、基本的に各事業所にとどまることを想定しました。
警戒レベル5が発令された場合、富士山松岡ガーデンはただちに地域の避難所へ避難することを事前に検討していました。
富士山するがテラスはビルの3階以上にあり、また前述のとおり災害対策施設となっているため、警戒レベルにかかわらず、その場所にとどまるのが最も安全であるとの判断をしました。
台風通過時の状況について(令和元年の台風19号)
富士山松岡ガーデン
低層の住宅が密集している地域に所在しているため、直接建物に風が吹きつけることなく建物もさほど揺れませんでした。
暴風雨のピークの時には風音、雨音が響いた程度の状況でした。
富士山するがテラス
駅前再開発ビルの中に位置しているため、暴風雨のピークの時は横殴りの雨、風が窓に吹き付けましたが堅牢な建物のため揺れやがたつきはありませんでした。
ご入居者様には安心して各居室でお過ごしいただくことができました。
反省点と今後の改善点
入居者様に対してはスタッフが適宜声をかけ、丁寧な対応をすることで、ご不安になることもなく落ち着いてお過ごしいただきました。
反省点としては、災害時の対応手順(備蓄した水の保管場所や、蓄電池の取り扱い)について、各職員への周知徹底が十分とはいえない部分があったことです。
新しく入社した職員も含め、詳細に関する周知徹底をし、最新の情報を職員全員が共有できるようにしたおくことを今後の課題と考えています。
台風に関しては事前にある程度準備できますが、地震はいつやってくるかわかりません。
いざという時に慌てないために、定期的な訓練を計画いたします。
また、富士山松岡ガーデンについては、最悪の場合は避難所への避難も想定していました。
しかし、避難所での生活は高齢者には負担が大きいこと、避難日数が長引けば衛生面や体調不良などの心配も出てくることが考えられます。
避難が必要となる大きな災害が起こった際は、松岡ガーデンの入居者様をするがテラスに移送するということも今後の選択肢として考慮したいと思っております。
最後に
高齢者を多く抱えた老人ホームでは、事前の対策と手順の徹底が非常に需要であるということを再認識いたしました。
老人ホームに勤務する職員も、災害時に休むことができない仕事です。
弊社職員のご協力に感謝いたします。